いつでも人を
助けられる存在でありたい
薬師台おはなぽっぽクリニック 訪問診療アシスタント齊藤 晋
薬師台おはなぽっぽクリニック
訪問診療アシスタント
齊藤 晋
安定的な仕事を辞めてでも、治療の道に進みたい理由があった。泰大会でのミッションは、訪問診療の現場を支える、訪問診療アシスタントというまったく新しい役割だった。柔軟性をもって、医療チームや患者様への貢献の仕方を模索している。
誰かを助けられる
存在になりたい
- 齊藤さんの職歴を教えていただけますか。
-
最初に就いた職業は、警察官でした。社会に貢献できる仕事を選んだつもりだったのですが、東日本大震災が起きたときに個人としての無力さを感じてしまったんです。もちろん警察のような大きな組織にいる間は人の役に立っていると思えるでしょう。しかし、組織で動くこととは関係なく、ひとりの人間としては、おそらく何もできないだろうと。
同じ頃にテレビで見た「仁」というドラマで主人公の医師が、江戸時代にタイムスリップする話を見て感化されました。当時、十分な薬や医療機器もなく、周りの医療従事者の知識や技術も乏しいわけです。それでも自分の力を十二分に発揮して、当時では救えなかったはずのたくさんの命が守られる筋書きです。 - それがきっかけで思い切って医療の道へ?
- はい。専門学校に通って柔道整復師の資格を取得し、医療や治療の世界で人の役に立ちたいと考えました。実際に訪問マッサージやデイサービスなどの経験を経て、治療できる喜びを感じることができたので、満足しています。
- 直前は歯科医院に勤務されていたとか。
- 役割が事務長だったので、あまり臨床には関わっていません。本当なら歯科とリハビリをつなぐ役割も重要性が高まっているので、歯科医院でリハビリを提供できる環境を実現したいと思っていました。しかしその前に、勤務地が自宅から遠いなどといった事情も重なって、再び転職を考えるようになりました。そこで泰大会のことを知ったんです。
訪問診療という
新しい挑戦が始まる
- 入職する時点で訪問診療アシスタントになることが決まっていたのでしょうか。
-
いえ、最初はデイサービスへの応募だったと思います。ただ、泰大会ではさまざまな職種の求人が出ていますし、私も自分なりの経験や知識が活かせそうな訪問診療にも興味を持っていました。
ちょうど私が入職するタイミングで、訪問診療のアシスタントという新しい仕事ができることになり、ぜひ挑戦したいと申し上げました。 - 訪問診療アシスタントはどのような仕事をするのでしょうか。
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まず医師や看護師を車に乗せて、患者様のご自宅や高齢者施設などに向かうルートを案内します。時間帯によって交通渋滞にはまってしまいますし、住宅地では近くに駐車場がないこともありますし、幅の狭い道に苦労することもあります。一方で訪問診療へのニーズは高まっているので、少しでもスタッフの診療効率を高めたいと思っています。
訪問先では、体温や脈拍などバイタルの数値をチェックしたり記録したりする場合もあれば、電子カルテへの入力を手伝うこともあります。ただし、アシスタントの役割ができたばかりなので、試行錯誤を繰り返している段階です。どうすれば、より患者様やご家族が安心していただけるか、医師や看護師が診療をしやすくなるのかを追求したいと思っています。
医療チームとして
成果を最大限に
発揮できるように
- 訪問診療の現場でご家族と会話することもあるのですね。
- はい。今後もっと役に立てる場面だと思うんですよね。先日も認知症の患者様を訪問したとき、気持ちが落ち込んでいることをご家族が不安そうにされていたんですね。そこで医師と看護師が診察している間に、私は別のお部屋でご家族からお話を聞かせていただいていました。こういうとき、そばで不安な気持ちを吐露するだけでも、支えになれることがあるのではないかなと。私は産業カウンセラーの資格も持っているので、ご家族のケアにも目を向けていきたいと感じた出来事でした。
- チームの一員として働く上で、大切にしていることは?
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自分の考え方を絶対視せず、相手の意見にも耳を傾けることでしょうか。昔は「リハビリとはこうあるべき」という信念が強くて、周りに押し通そうとしたときに反発を招いた経験もあったんです。結果的に自分も疲弊してしまいました。
流れている川のように常に水が澄んでいる状態を心がけています。流れが淀むと濁ってしまいますからね、そんな臨機応変さでチームに貢献できたらいいなと思っています。 - 今後、齊藤さんのような訪問診療アシスタントがさらに必要になるかもしれません。
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すでに新しいアシスタントの方が、私の後にも加わり始めています。いろんな役割が求められるのがこの仕事の面白さではないでしょうか。直接診療にあたるわけではないので、地味に見えるかもしれませんが、誰かの役に立っていることは実感できます。そんな働きがいを求めている人にはぴったりの仕事だと思っています。
今後は柔道整復師としての経験なども活かしたいですし、事務系の仕事も得意だと思っています。もっと広範囲に貢献できたらいいですね。