働く人を知る

介護とはその人に寄り添って

一緒に生きること

薬師台デイサービスおはな デイサービス管理者・介護福祉士安達 恵

薬師台デイサービスおはな
デイサービス管理者・介護福祉士
安達 恵

認知症の祖母を介護したときに、支えてくれた介護スタッフの姿が原体験となっている。こちらが提供したいことではなく、本質は利用者様自身がしたいこと、または助けを借りたいこと。今という時間を楽しみ、安らげるような真の介護を追求している。

祖母を介護した体験が
私の原点

安達さんと介護・福祉の出会いを教えてください。
家族を介護した経験ですね。親代わりとして私を育ててくれた祖母が寝たきりになり、3年間在宅介護を行ったんです。ヘルパーさんをはじめ、訪問診療でさまざまな方のお世話になりましたが、まだ介護保険が始まったばかりで初めて知る世界でした。おむつ交換が終わった後など、認知症の祖母が同じ話を繰り返すのを、ずっと枕元で聞いてくださる姿に感銘を受けました。

そして、祖母が亡くなってからすぐヘルパー2級の資格を取り、ずっとデイサービスや訪問介護で働いてきました。
ご自身も、働いてみてやりがいを感じますか?
サービス提供責任者として、訪問計画書の作成をしたり、自分も訪問に行ったり、ヘルパーさんに教えたりしてきました。掃除の仕方一つをとっても、1軒ずつ好みやルールが異なるので、非常に奥深いと感じています。
働く組織によっての違いもありましたか?
それはありますね。民間のデイサービスや訪問介護での経験もありますし、非営利型のNPOが運営する事業所でも訪問介護に携わりましたが、サービスの線引きには違いがあります。

やはり民間企業では、介護保険でできることと対応できないことの区別がしっかりしている印象です。NPOのほうがよく言えば利用者様のニーズに合わせて柔軟ですが、裏を返せば訪問するヘルパーの価値観や考え方に委ねられるところがありますね。人によって判断が変わることもあるかもしれません。私自身は「利用者様の意志が何よりも尊重されてほしい」と思うので、柔軟なやり方のほうが自分にマッチしていると思います。

利用者様がしたいこと、
してほしいことは何か

「薬師台デイサービスおはな」にはどんな印象をもちましたか?
見学させていただいたときに、利用者様の自由な様子に驚きました。

デイサービスでありがちなのは「あれをやりましょう、これをやりましょう」と職員が利用者様を誘導する姿ですが、職員と利用者様の距離感がいいというのか、自然に寄り添っている利用者様ファーストの印象をもちました。
ここなら自分のやり方にもマッチすると思いましたか?
そうですね。また正職員で働けること、まだ子どもが小さいので土日のお休みが確保できることなどの条件もありがたいことでした。

昨年の途中から管理者となりました。最初に勤めたデイサービスで、主任として職員をまとめたり、シフトを作成した経験はありましたが、泰大会に入職してからの期間が短いのでまだまだ「全体の把握」が難しいなと感じています。

でも周りのサポートにも恵まれたおかげで、新しい試みも少しずつ実現できています。

利用者様が
やってほしいことが
かなうように

最近の取り組みをぜひ教えてください
ある職員の発案がきっかけで、デイサービスの利用者様のネイルケアを行うようになりました。その職員はネイルの手入れが得意で、いつも整った爪で勤務している様子を見たある方が「自分もやってみたいけど、手に震えがあるからできない」と仰ったそうです。

そこで「利用者様のためになるなら」と、法人内での承諾を得て、利用者様へ一斉にお手紙を書いてサービスをスタートすることになりました。毎回ネイルケアできるわけではないことや、爪の状態によっては塗れない可能性があることなどを説明しました。
利用者様には喜ばれましたか?
そうですね。ネイルケアが終わると、パッと表情が明るくなるのを見るとうれしいです。普段からお世話になっている居宅介護支援事業所のケアマネジャーさんからも「すぐに新しいサービスを実現するなんてすごい」とお褒めの言葉をいただきました。

利用者様がやってほしいことがかなうように、私は管理者として手続きを行ったに過ぎません。はじめから「無理だろう」と蓋をするのではなく、できる方法を一生懸命考えるのは大切なことだと思います。
これからの展望や目標など、聞かせていただけますか
私は介護の仕事が大好きです。そして「介護する」「される」関係ではなく、その人の時間に寄り添って一緒に生きることを目指しています。よく介護を「提供する」と言いますが、シンプルにデイサービスを楽しんでいただき、生きている時間を一緒に共有する感覚で接していたいんです。

この薬師台メディカルTERRACEという空間は、高齢者の方や障害を持った方、また子どもたちも含めていろんな方が集まれる場所です。いつでも、だれでも地域とつながれる場所にして、いろんなイベントが開かれていたり、ただ診察や治療を待つときもゆっくり過ごせたり。そんな居場所を整えていけたらいいですよね。

イキイキチイキパーソン
インタビュー