働く人を知る

「一生を診る 一生に寄り添う」

の奥深さ

薬師台おはなぽっぽクリニック 院長友成 雅大 副院長渡邊 知緒

薬師台おはなぽっぽクリニック
院長
友成 雅大
薬師台おはなぽっぽクリニック
副院長
渡邊 知緒

専門分野も経歴も、年代も異なるふたりの医師が、薬師台おはなぽっぽクリニックを、地域医療を支えている。リスペクトしあえる院長、副院長として、患者さんと地域を見守ることの安心感はとても大きい。

訪問診療に関わるため
おはなぽっぽクリニックへ

まず専門領域と、なぜおはなぽっぽクリニックへ来られたのかを教えてください。
友成:私の専門は内科で、その中でも腎臓内科で多く勤務していました。初期研修で新潟にいたのですが、そこで地域医療の素晴らしさを教わりました。内科にとどまらない「町医者」でありたく、真の意味での総合診療を行う泰大会に惹かれました。

渡邊:私は産婦人科の専門で、島根県の病院や保健所での勤務、シンガポールでも医療に従事していたことがあります。前職の淵野辺総合病院では野口泰芳先生とも一緒に働いていた時期もあります。その後、現在のおはなぽっぽクリニックを開業されて、外来で抗がん剤治療にも取り組んでいるなどと噂に聞いていたので、ずっと気になっていました。
婦人科で訪問診療に取り組むのは珍しいのではありませんか。
渡邊:あまり聞かないので、珍しい存在だと思います。しかし以前から、寝たきりに近い状態で介護施設に暮らす高齢の患者様を外来に連れてこられる姿に課題感がありました。婦人科の訪問診療はこれからもっと必要になるだろうと、ここへ転職することにしたんです。

友成:婦人科の専門の先生がいてくださることで、私たち内科の医師は本当に助かっているんですよ。

“一生を診る 一生に寄り添う”の
重みと誇り

友成先生は、野口泰芳先生にどんな印象をお持ちでしたか。
友成:地域医療への想いが強いことはもちろんなんですが、言うだけでなく、意志が強くて、自らが先頭に立って実践している方なんだと感じました。心には燃えたぎるような情熱がありながら、スタッフとのやりとりは非常にフラットで、落ち着いているので、一緒に仕事をしていて心地いいです。

渡邊:病院で同僚だった時期から、どんな患者様にも対応できる外科医として注目していたんです。だから最初、内科を開業すると聞いたときは驚きましたし、外科医としてはもったいないと思ったほどです。でも総合診療に取り組んでいる姿を近くで見ていると、野口先生のよさが最大限に引き出される環境だと思います。
総合診療のやりがいとして感じていることを聞かせてください。
友成:”一生を診る 一生に寄り添う”という泰大会で掲げている目標はとても大きな責任をともなうものです。私自身には内科での訪問診療の経験はありましたが「全部」を診るには自分の力の限界を感じる場面も少なくありません。そこで大切になるのが、どこまでが自分で対応できて、どこからは専門の医師に相談するという見極めだと思っています。とにかく患者様のことが最も大切ですから。

ただ少しずつですが、自分の知識や対応できる範囲が広がっている実感もあります。そうすることで、患者様がほかの医療機関へ行く必要もなくここで診察できれば患者様の負担を減らすことにつながります。もちろん自分も一層のやりがいを感じられます。

渡邊:訪問診療のほうが、医師ひとりで全部を診なければならないというプレッシャーが強いです。ここに来てから、内科の疾患にもだいぶ詳しくなれたと思います。婦人科の患者様でも、血圧やコレステロールの問題、関節が痛いなど、ほかの課題も出てきますよね。

ただ新しいチャレンジをしたことで、自分が活躍する機会を広げられたという思いはあります。近頃、訪問看護が始まりましたが、ベテラン看護師がうれしそうに「訪問看護の勉強もし直さなくては」といっているのを見て、新しい知識を得る喜びはだれにでもあるのだなと思いました。

課題があるから
まだまだよくなる
手応えも感じる

クリニックの運営で感じる難しさや課題はありますか?
友成:日々忙しい中、スタッフも本当によくやっていると思っています。混んでいるときは時間的に難しい部分もありますが、一人ひとりの患者さんにもう一声かけるなど、医療サービスの提供以上に思いやりをもって接することをこれからも意識し続けたいですね。それだけ病気ではなく、人を診ることの大切さ、難しさを実感しています。

渡邊:小さな規模のクリニックだから仕方のない部分はありますが、やはり手術などの対応ができないことでもどかしさを感じる場面はあります。その先まで寄り添いたいのに、それができなくて物足りないと感じるんですね。ここはクリニックの中で、婦人科の領域がまだまだ発展しなければいけないところかなとも思います。

友成:自分に課せられた最大の使命は、医療の質を上げること。たとえば放射線科の画像読影の専門医にも来ていただくようにして病気の見逃しを防ぐような取り組みも始めました。スタッフにも質を上げることの大切さを、常々話しています。待ち時間は少ないほうがいいですが、それにこだわりすぎて肝心の医療の質が下がるようなことはあってはならないと思っています。
今後、こんな仲間に加わってほしいという希望があれば聞かせてください。
友成:患者さんの心身両面に寄り添える方ですね。表面的な症状だけでなく、家族背景なども含めて全人的に診ることができる。または、診たいと思う。そんな私たちが行っている医療に共感してくださる医師やコメディカルの方が加わってくれたら心強いですね。

渡邊:「医療とはこうあるべき」という固定観念にとらわれない柔軟な方が向いていると思います。あまり型に押し込めず、ゆるやかに相手を思いやる心を持てることは結構貴重な資質だと思うんですよ。患者さんに寄り添うという基本的な考えは持ちつつ、融通の利く対応ができる人が理想ですね。私自身、そんな医療を実践していきたいと考えています。

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